●登録・検定事業について

和牛を大事な資源として確保していくとともに,個体の能力や特徴を把握し,その能力を的確に活用していくことが重要です。そのために,和牛の戸籍の元となる子牛登記を行い,成長し繁殖牛として利用する場合は一定の能力を有する個体を登録し,種雄牛については検定を行い能力の高いものを選抜し利用することで,和牛肉の生産基盤の安定化と品質向上,さらには和牛の能力向上に努めています。

和牛の登記・登録にあたっては,1頭1頭,書類等による血統の確認,鼻紋による個体の確認を行い,定められた登録規程及び取扱方法に基づき登記検査,登録審査を行います。
なお,極端に能力が劣るものや不良な形質を除外していくため,登記検査,登録審査時に確認された情報に基づき,一定水準以上の資格条件を満たすものを合格とする選択登録制度をとっています。
この選択登録制度を採用していることで,極端に劣るものが生まれなくなり,将来にわたって安定した和牛経営ができ,良質な畜産物の安定的な供給が可能となります。

1)子牛登記
子牛登記は全ての登録事業の基礎となっており,地域の登記検査委員等が,生産地において子牛の登記検査(書類確認,個体確認,異常の有無等)を行い,個体を識別するとともに子牛登記証明書を発行し,品種の証明を行っています。子牛登記の記録は,牛の戸籍管理だけでなく,母牛の分娩間隔などの繁殖成績としても活用し,効率的な生産を行うための改良情報になります。

2)登録
おいしい和牛肉を安定的に生産する基盤として,子牛を生産する繁殖牛として一定水準以上の和牛が確保されていなければなりません。そのため,審査標準に基づき外貌審査を行い,その他登録の種類によってそれぞれ定められた生産履歴や体型・能力などの資格条件を満たしたものを基本登録,本原登録,高等登録の3種類で登録しています。
次の順番に,能力の高い登録種類としています。
基本登録:繁殖牛としての基本的資格条件を満たした牛
本原登録:改良の基礎となる繁殖牛の継続的な供給をする牛
高等登録:改良の中核的な牛群を構成する牛

□登記検査・登録審査の実務について>>

3)証明書の発行
子牛登記や各種登録をした場合,子牛登記証明書,登録証明書等を申込者に対して交付しています。品種の証明を行うと同時に,育種改良の基本的な情報の提供や公正な取引等に活用されています。

また,平成13年にわが国で初めてBSEの発生が確認されたことを受けて,平成15年牛トレーサビリティー法(「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」)が施行されました。
これは,牛の出生から牛肉の消費に至るまでの履歴を個体識別番号で管理することにより,牛肉の安全性に対する信頼性を担保する役割を果たすためのものですが,個体識別番号と子牛登記・登録の情報をリンクさせ,畜産物の生産だけでなく,幅広く流通・消費にも役立てられています。

4)種雄牛の能力検定
和牛の生産では人工授精が一般的で,1頭の雄牛が数千~数万頭の雌牛に交配され,和牛生産に与える種雄牛の影響力が大きいことから,雄牛は能力の高いものを選抜することが極めて重要となっています。このため当協会では,全国的に統一された雄牛の産肉能力検定を行い,和牛全体の能力の向上を図り,時代に応じた良質な畜産物を安定的に供給することに寄与しています。
和牛種雄牛の産肉能力検定は,本牛の発育等を見る直接法のほか,実際に子牛を生産肥育し肉の成績をみる間接法,現場後代検定法の3種類があります。

検定の実施にあたっては,産肉能力検定委員会を設置し,産肉能力検定の適正な運用を図っています。また,検定を実施する各地域に幹事を配置して,検定の立会を依頼し,検定成績を正確に記録することに努めています。

なお,検定結果で一定の条件を満たしたものに対しては,種雄牛の能力指標として,子牛登記証明書並びに登録証明書等にその検定結果を表示し,選抜保留や交配指針のための情報として提供しています。

平成30年度現場後代検定合同調査会の模様はこちらをご覧下さい。

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